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納期まであと1週間 突然のNASの故障に困惑
【お客様からのご相談】
機器:LACIE製 NAS(STHJ4000800)
旅行代理店向けにポスターやパンフレット等の制作をしている、とある都内の広告業A社。
ある取引先より国内旅行のパッケージツアー開始にあたり、パンフレットの制作の依頼を受けていました。
納期が迫る中、デザインのデータを格納していたネットワーク接続型のハードディスク(以下、NAS)が突然故障してしまいました。こちらNASは2年前に導入されたものです。元々は別のWindowsサーバをメインに運用していましたが、機器自体が古くなったため、直近の容量の大きいデータを共有するのに、新たに導入されたものでした。
仕事柄取り扱うデータ容量のひとつひとつが大きいため、ハードディスクの容量は圧迫されやすく、今回の突然のトラブルにより早急にデータ復旧が必要でした。最初はケーブルの接触不良を疑い、ケーブルを差し直してみるものの復帰せず。NAS本体の電源の入れ直しや、パソコン自体の再起動も試すも状況は変わりませんでした。
さらにはこのNASを導入した当時のシステム担当者は既に退職しており、社内に詳しいスタッフもいなかったため、自力ではどうにもならず、データ復旧の専門業社に相談することにしました。
技術スタッフが出張訪問
上記のお客様からのお問い合わせを、特急データ復旧Win-Get!のコールセンタースタッフが受けました。
東京都内の提携代理店や直営の秋葉原オフィスへの来店、郵送等の方法がある中、今回はWin-Get!の技術スタッフが直接お客様先へ機器を引き取りに伺う「ピックアップ」をご提案しました。
直接現地に伺うことで、実際の機器の使用環境を確認することができます。
突然のトラブルでお困りのお客様の切迫した状況を目の当たりにしたスタッフは、すぐさま専用機材のそろった秋葉原オフィスに機器を持ち帰り、データ復旧作業を開始しました。
機器を引き取り、復旧作業開始
オフィスに戻った技術スタッフは、早速データ復旧の初期調査を開始。
まずは機器に物理的な損傷がないかを確認しました。
NAS(STHJ4000800)にはハードディスクが2台搭載されており、RAID0が組まれていました。
RAID(Redundant Array of Independent Disk)は、複数のハードディスクにデータを分散させことにより、性能や冗長性を高める技術です。RAID0、RAID1、RAID5、RAID6などデータの保存の仕方により種類があり、特性も違います。今回のRAID0は「ストライピング」と呼ばれ、データを分割して複数のハードディスクに書き込む事で、読み書きの速度を向上させる事ができます。
ただ、2つのハードディスクでデータを構成している為、耐障害性は低くハードディスク1台が故障するとデータを読み出せなくなってしまいます。
ハードディスクを取り出し、それぞれを診断機器に接続し初期診断を行ったところ、片方のハードディスクから異音が発生、磁気ヘッドの損傷(以下、物理障害)が疑われました。
前述のとおり、RAID0構成の機器からデータを読み出すには両方のハードディスクが必要です。そのため、物理障害が起きているハードディスクをクリーンルーム(防塵室)で分解し、壊れている磁気ヘッドの交換を行う分解作業を実施致しました。
分解作業による磁気ヘッドの交換成功後は、ハードディスクの情報を別のハードディスクへ転写しハードディスクのクローンを作成します。
磁気ヘッドの交換に成功したものの、決してハードディスクが完全に直ったという訳ではありません。あくまで専用機器によりなんとか制御ができるレベルです。
そのため、再び磁気ヘッドのトラブルが発生しないように慎重な動作制御作業を行いました。
無事にハードディスクのクローン作成後、2台のハードディスクでRAIDを再構成しデータ領域の取得作業を実施。フォルダ構造を含め、ほぼ障害前のデータ状態に復元することができました。
今回のようなケースでは、再稼働や新たな通電によって二次的な物理損傷が発生する場合が少なくありません。
むやみな通電、RAIDの再構築であるリビルドを行うことにより、被害はさらに拡大していた可能性があります。
今回はトラブルが発生してから早急に依頼をいただいたことで、被害を最小限に抑え、スピーディーにデータ復旧を行うことができました。
他のお客様の事例では、障害発生後に再起動を繰り返したり、異常のあるHDDを自分で交換することで状態が悪化し、復旧ができなかったケースもあります。
不具合が発生しても、かろうじて使用できるために異常を放置してしまい、完全にアクセスができなくなったというケースが多いです。
バックアップが正常に運用できておらず、今まで蓄積した数年分のデータが一瞬で消えてしまうケースもあります。
初期の早急な対応がいかに大切であるかというのを、今回のお客様も痛感されていました。
お客様の声
スピーディーなデータ復旧作業により、制作納期に無事間に合い、取引先に納品することができました。
今回は早急な判断によりなんとか間に合いましたが、トラブル発生時は「データを夜通しで作り直すしかないのでは・・・」と肝を冷やしました。
バックアップの設定はしていたつもりでしたが、RAIDの設定の仕組みを正しく理解しているスタッフが社内にいませんでした。
機器設置時の社内の担当者に任せきりになっており、その社員も退職したため、バックアップの対策が不十分なまま運用を続けてしまっていました。
また今回のデータ復旧の経験を機に、バックアップの重要性を痛感。社内にシステムに詳しいスタッフが今はいないため、今後はこうした保守もトータルで専門業社に任せたいと考えました。
QNAP社製高耐久NASを採用した【GUARDIAN+Rバックアップシステム】を導入
今回のデータ復旧をきっかけに、導入いただいたのがQNAP社製高耐久NASを採用した【GUARDIAN+Rバックアップシステム】です。
お客様は今回の経験を機に、地震や火災、落雷等による災害時に、突然データを失ってしまうことも懸念されていました。
耐久性の高いHDDを搭載したQNAP社製のNASで、現地への設置設定・設定後のアフターサービスも付いているため、大切なデータを長期で安心して管理したい、というお客様のニーズに合わせてご提案いたしました。
GUARDIAN+Rとは?→https://www.guardian-r.com/
データに関するお困りごとは「特急データ復旧Win-Get!」へ
今回のお客様は、トラブル発生時の早急な判断により、納期までにデータを納品することができました。
自身で復旧を試みようと通電やRAIDの再構築等を繰り返すことで、状態が悪化することがあります。
ハードディスクへの負荷を避け、復旧率を下げないためにも、早急な判断・初期対応が重要です。
弊社では、お客様のご要望に沿って対応させていただいております。
・郵送は不安なため、対面で相談したい
・機器の持ち出しができないため出張で依頼したい
・業務をストップさせないよう夜間で対応してほしい
など、ご要望をなんなりとお申し付けください。
特急データ復旧ウィンゲットは、大切なデータの復旧に尽力いたします。
お困りの方は、ぜひ 特急データ復旧Win-Get!までご相談ください。
・担当拠点:東京都 秋葉原オフィス(https://www.60min-data.com/)
・お客様概要:東京都 広告業
・機器概要:LACIE STHJ4000800
・使用用途:デザイン関連のデータの保存・共有
・構成:RAID0 (2TB×2台構成)
・症状:ハードディスク1台から異音発生
・対応方法:HDDのクローン作製後、RAIDの再構築によりデータ復旧